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仏教メソポタミア起源説 / ラナジット・パ-ル著 佐藤 任訳 [読書の楽しみ]

仏教メソポタミア起源説 / ラナジット・パ-ル著 佐藤 任訳

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仏教はインド起源ではなく、西アジア、メソポタミアに起源を持つという、
従来の仏教史に重大な変更を迫る、パール氏の一大論文。

パール氏の主な主張は以下の通り。

1.ブッダ以前にも仏教は存在した。
2.ゴータマ・ブッダと、ベイストゥンの壁画に描かれた、ダリウス一世に踏みつけられ
  ているマゴス僧のゴーマタとは同一人物である。
3.インドの地名は西アジアの地名の反復(エコー)である。
4.アショーカ王とディオドトス一世は同一人物である。
他にもあるが長くなるので割愛。

翁も一昔前、「踊るマハラジャ」(Muthu / Rajnikanth)に凝った時に色々
調べてみたんじゃよ。
HindiのDVDもずいぶん買って見たものじゃ。
ところが、向こうの映画ではヒンズー教とイスラム教についてはよく出てくるが、
こと仏教については全然出てこない。 しかもインド人に聞くと、仏教の発祥国だというのに
ほとんどの人が「ふとした逸脱」、のように考えている。

パール氏もこの件については、
1.インドでは発掘学からの物的証拠はほとんどない。
2.仏教は他の国では隆盛したのに、発祥国で急激に衰退したのは不可解。
3.インダス文明のあとの「暗黒の千年」問題。
その他、ブッダが異邦人として描かれている等の論証豊富。

パール氏の主張はより簡潔で、少し物足りなさを感じてしまうくらい。
(この点、くどい上に晦渋な梅原 猛氏とは好対照をなす。)

しかし、この本のことが殆ど取り上げられないのが不思議。
仏教史が大幅に書き換えられてしまうことへの畏れか?
少なくともパール氏の論を考察することにより、現在不可解とされている事象はなくなる。
(発祥国で急激に衰退したのは、アショーカの強力な布教があったため等。)
もしくは反論もあってよいはず。

少しでも仏教に興味がある方には是非のお勧めです!!

尚、後半には訳者である佐藤 任氏の補足が詳細に記載されています。

もう一冊、
「ブッダの謎 仏教西アジア起源論」 佐藤 任著

訳者である佐藤 任氏が、パール氏の著作に氏独自の見解を加え、より詳細な解説を加えた
一冊。 メソポタミア起源説の副読本として読んで頂ければ、理解もより深まる。

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コメント 2

sat0204

仏陀は手塚治の漫画しか読んでないです。

こういう専門書って新刊だと値段が高いけどブックオフよかで安い掘り出し物があれば買ってしまいます。

アマゾンという手もありますが。

メソポタミアと言えばチグリス・ユーフラテス川流域で生まれた文明だったかな。
シュメール人→ニビル となってしまいます。
by sat0204 (2012-10-13 20:36) 

Kinsaku

冗談抜きに震撼するような内容ですよ!!
世界史を取った人にはよく分かるでしょうが、日本史だとね。

中古でも売ってれば超ラッキー!!
一読をお勧めします。

by Kinsaku (2012-10-13 21:27) 

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